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今できる親孝行2024.01.28親孝行で失敗しないために、知っておいてほしい7つの心得。

親孝行はしたいけれど、どんなアプローチが良いかわからない。せっかく親孝行をしようと一緒に出掛けたのに、些細なことで喧嘩になってしまった。そんな経験を持つ方は少なくないようです。かく言う筆者自身、30代頃までは両親と上手にコミュニケーションが取れているとは言い難い状態でした。転機となったのは父親がとある病気を患ったこと。残された時間はもう長くないかもしれないという思いから、今のうちにもっと親孝行をしておこうと考えるようになったのです。とは言え、急に上手く親孝行ができるはずもありません。どうしたら両親とより良い関係を築けるか、何をしたら喜んでもらえるのか、そんな試行錯誤の連続。そうした経験の中で得た、皆様の参考になりそうないくつかの“親孝行の心得”を、この記事ではご紹介させていただきます。

今の両親と向き合おう。

両親のちょっとしたお節介などに対して「もう子供ではないのだから」とイライラしてしまう。そんなことはありませんか。どれだけ大きくなっていても、親にとっては子どもは子ども。どうしても、幼い頃のイメージが抜けきらず、ついつい余計な心配をしてしまうという人が少なくないようです。

けれど、昔のイメージが抜けていないのは、実は私たちも同じかもしれません。年齢を重ねた両親を見て、ある日ふと昔より小さくなったことに驚いたり、実家のテレビの音量が年々大きくなっていくことに気が付いて、ハッとしたことはないでしょうか。老いは、誰にでも平等にやってくる。頭では分かっていても、いざ両親のこととなると、心のどこかで、その事実と向き合うことを拒否している自分がいる。そう気が付いてから、私はあえて、両親のことを“平均的な高齢者”という目線でみるようにしてみました。すると、両親が繰り返し同じ話をすることも、同じ説明が何度も必要になることも、イライラせずに受け入れるようになったのです。両親と上手くコミュニケーションが取れないという方は、まず「今の両親と向き合う」ことを心掛けてみると良いのではないでしょうか。

必要以上に年寄り扱いしない。

両親の老いと向き合いましょうとお伝えしたばかりですが、必要以上に年寄り扱いしてしまうのはNG。大変そうに見えるからといって、何でもやってあげてしまうことは、かえって親の老化を早めることにつながってしまうという話も聞いたことがあります。むしろ、自分の子どもに適度に頼ってもらえることで、暮らしにハリが出るという声も。私の場合は、実家に帰省した際に、あえて半日だけ子供たちの面倒を両親に見てもらえるように頼み、妻と買い物に出掛けるようにしています。まだ小学校に上がる前の二人の子供を見るのは中々にハードだと思うのですが、孫との時間は、それなりに楽しそうな様子。子供のことに限らず、両親の負担にならない範囲で、あえてちょっとしたお願い事をしてみるといった、そんな親孝行の仕方もあるのではないでしょうか。

両親の「暇な時でいいから」は、強がりだと思おう。

多くの親は、自分の子どもに迷惑を掛けたくない、負担になりたくないと思っています。子どもが結婚していてそれぞれの家族を持っていたりする場合は、なおさらです。そんな両親の想いは、「暇な時でいいから」というような言葉として現れます。実際、私も社会人になりたての数年間は本当に暇がなく、そんな両親の言葉に甘えて、まったく帰省しない時期がしばらく続きました。けれど、両親が70歳を迎える頃、「一年に一回、帰省するとして、あと何回会えるのだろう」と考え、急に寂しい気持ちになったことを覚えています。そうした、「子供や孫に、あと何回会えるのだろう」という思いは、むしろ両親の方が強いのではないでしょうか。「いつでもいいから」や「時間があったら」という言葉は自分を気遣ってのものと理解して、少しでも会う時間や話す時間をとってあげると、両親は、あなたが思っている以上に喜んでくれるはずです。

両親の持病は把握しておこう。

「あなたがしてあげた親孝行は?」という質問に対して、多くの人があげるのが両親との旅行。行きたいと思っていた観光地や思い出の場所に、自分の子どもが連れていってくれるという経験は、どんな人にとっても嬉しいものだと思います。ただ、普段の環境との急激な変化は、体力的な負担が大きいのも事実。私の両親も、少し疲れを感じていたり、体調が良くない時でも、「せっかくの旅行だから‥‥」と無理をしてしまう傾向があるので、旅先では、いつも以上に両親の体調面や体力面に意識を向けておくようにしています。また、何かあった時に正しい対処ができるよう、事前に持病を把握しておくことも大切。持病を知っておくことは、旅行やお出掛けに限らず、普段のケアにも役立つはずです。

いつもと違うお出掛けは、いつもはできない話をする機会。

さて、親子での旅行について触れましたが、そうした非日常的な時間は、普段はしづらいような会話をする良い機会でもあります。私の場合、祖父母の代からの実家を、将来的に両親はどうするつもりなのだろうとずっと気になっていたので、父と一緒に温泉に入りながら、それとなく尋ねてみました。老後のことや介護のこと、相続のことなど、気になりながらも、両親に聞けていないことというのは、皆さんもあるのではないでしょうか。家では話題にあげづらいことも、腹を割って話し合うチャンスです。この先の親子関係をより親密なものにするためにも、親孝行の機会を利用して、これまでできなかった“ちょっと踏み込んだ会話”をしてみるのはいかがでしょうか。

週に1回の電話だって、親孝行。

親孝行と聞くと、温泉に連れていかなきゃ、美味しいものを食べにいかなきゃ、母の日や父の日にプレゼントを贈らなきゃなど、大掛かりなことをイメージしてしまう人も少なくないようです。実際、私自身もそのようなイメージに囚われ、必要以上に大掛かりな計画を立てていたような気がします。ですが、ご高齢の方へのアンケートなどを見ると、孫の顔を見せに来てくれたり、何気ない話を聞いてもらったりといった、日常のコミュニケーションを嬉しいと感じる方が多いようです。年に1回の旅行はもちろん素晴らしいけれど、週に1回の電話でも同じように喜んでもらえる。そう知ってから、より親孝行というものを気軽に捉えられるようになりました。日常的なコミュニケーションを大切にするという当たり前のことも、立派な親孝行になるようです。

あなたも、楽しもう。

両親に感謝の気持ちを届けるために、両親に喜んでもらうためにする親孝行。だからといって、あなたが楽しんではいけないということはありません。両親のためにと無理をしても、それはきっと長続きしません。毎回、親の嗜好に合わせるのではなく、時には自分が行きたい旅先や、行ってみたいレストラン、始めてみたい習い事に両親を誘ってみるような感覚で、親孝行をしてみるのはどうでしょうか。きっと、両親は喜んで付き合ってくれるはずです。自分の子どもが楽しそうなこと、幸せそうなことこそ、両親にとっての一番の親孝行なのですから。

その先も、親孝行は終わらない。

「親孝行したい時に、親はなし」という諺があります。大切な教えではありますが、両親が亡くなってしまったら親孝行は終わりというわけではありません。自分を育ててくれたことに感謝しながら、両親を思って行う供養もまた、立派な親孝行。両親が好きだった花を墓前にお供えする、命日にお母さんの得意だった料理をつくって孫に話を聞かせてあげる、生前に行ってみたいと言っていた場所に遺影を持って尋ねてみるなど、供養の方法は人それぞれ。天国で喜んでくれそうなことを、その先も実践できるよう、ぜひ両親が元気なうちにたくさんコミュニケーションをとって、理解を深める努力をしてみてはいかがでしょうか。

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