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今できる親孝行2024.09.30要介護を理由に諦めなくていい!親孝行の「旅」に新たな選択肢を

コロナ禍が落ち着き、旅行やお出かけを楽しめる社会になりました。「家族と旅行したい」「祖父母や親に旅行をプレゼントしたい」と考えている人も多いでしょう。しかし、高齢者や介護が必要など、体の状態によっては旅行や遠出を諦めてしまう人も少なくありません。そんなとき、介護が必要な人の旅行や外出のサポートを行っているのが、日本介護システム株式会社が提供する日本介護トラベルサービスです。サービスの内容や事業に込めた想いについて、同社常務取締役の寺北大悟さんに詳しく聞きました。

高齢者や病気を抱える人から注目されている「日本介護トラベルサービス」とは?

編集部(以下、略) 2023年頃から、再び自由に旅行や外出ができる社会が戻ってきました。そんな中、高齢者や病気を抱える人から注目を集めている「日本介護トラベルサービス」とはどんなサービスなのでしょうか?

寺北大悟さん(以下、寺北) 要介護者や病気などで外出が困難な人に向け、介護付き旅行の提案やサポートを行うサービスです。対象は、認知症で介護が必要な人、足腰の弱い高齢者、車椅子ユーザー、オスメイト(人工肛門)ユーザー、人工透析や点滴で治療中の人など。体に何かしらの不自由を抱える人が旅行や外出をする際、弊社スタッフのヘルパーや介護士、場合によっては看護師(有資格者)が同行し、サポートするサービスです。家族と一緒でも、一人での旅行や外出でも、どちらも可能です。

―― 同行するスタッフのサポート内容を教えてください。

寺北)例えば、車椅子への移乗、着替え、食事、入浴、トイレ、おむつ交換、見守り、服薬の確認、旅行手続きの代行など、介助全般をサポートしています。オプションで同室での宿泊や夜間の介助、見守りも対応可能です。また、旅先での体調不良に備え、お客様の症状に対応できる現地の病院や施設を下調べして、万が一の場合に備えます。

介護保険の範囲内でのサポートが義務付けられているヘルパーとは違い、おしゃべりの相手もできますし、その時々で必要なサポートを行える点は公的なケアサービスと大きく異なりますね。

―― 介護や看護の専門スタッフが同行してくれるのは心強いです。予算はどれくらいで利用できるのか、また何日前までに相談すればいいか教えてください。

寺北) 一人旅や外出はもちろん、家族旅行の場合もケアやサポートはスタッフに任せられるので、ご家族もご本人も気兼ねなく、安心して楽しめると思います。料金は、お客様の介護の程度や症状によって、複数のプランを用意しています。例えば、外出支援サービスは、約4時間の半日プランで16500円(要介護3まで)から。介護付き観光旅行サービスは、1泊2日で66000円(要介護3まで)。トータルでは、お客様の旅費+サービスご利用代金+手数料(事前打ち合わせ、添乗サービス料金、旅行プランニング代など)が旅行代金になります。

予約は出発希望日の1週間前が目安です。ただ、お客様によって必要なサポート内容は個人差がありますので、まずは気軽に相談してほしいですね。見積もりは無料です。

冠婚葬祭や一人旅で思い出をプレゼント

―― これまで、どんなシーンで利用された方が多いのでしょうか? 事例を教えてください。

寺北) 一番多いのは、冠婚葬祭ですね。特に、「遠方に住む孫の結婚式へ参列したいけれども、飛行機や新幹線での移動が不安」といった高齢者の方の利用が多いです。他には、人生の終盤に差し掛かり、思い出の場所に行きたいという人のご利用も増えています。ある高齢者の方は、配偶者との思い出がある京都府の「天橋立」にもう一度行きたいと考えておられました。しかし、車椅子ユーザーであることから諦めていたそうですが、弊社のサービスを利用して実現でき、たいへん喜んでいらっしゃいました。

結婚式のお付き添い(80代の方)

天橋立(90代の方)

―― まだ親の介護などが現実的ではない世代の人は、「旅行や外出は家族が付き添えないのか」と考えてしまいがちです。

寺北) そうですね。しかし、実際に介護を受ける側の高齢者や病気を抱える人は、「家族に負担をかけたくない」と考えている人が多い。そのため、旅行や外出、一人旅を遠慮したり、諦めてしまったりするのです。日本介護トラベルサービスは、「家族や親類ではない第三者がサポートするからこそ気兼ねなく頼れる」「ヘルパーや介護士、看護師など専門スタッフがサポートしてくれるのも安心」と、ポジティブな声をいただいています。

―― 冠婚葬祭や一人旅以外にも、さまざまなシーンで活用できそうですね。

寺北) 外食や買い物、通院といった日常的なシーン、遠方へのお墓参り、同窓会などでも気軽に利用していただきたいですね。ご家族から、長寿のお祝い、父の日や母の日、誕生日、敬老の日のプレゼントとして活用していただけたらと思います。

プラネタリウムへ(70代の方)

例えば、プレゼントの場合は、家族に想いをしっかりヒアリングし、場所や旅行日程、プランをご提案。体の状態やサポートの必須事項などもお聞きし、ご本人の満足と幸せにつながる旅をかなえられるよう努めます。

―― このサービスは全国どこからでも利用できますか?また、海外旅行も可能なのでしょうか?

寺北) 現状では都市部を中心にサービスを提供しています。対応できるエリアに限りがある点は弊社の課題として今後改善していきたい。ただ、対応エリア外の場合でも、まずはご相談いただきたいですね。今のところ、海外旅行の実績はありません。でも、お客様の希望があれば語学堪能なスタッフなどサポート体制を整え、実現させたいですね。今後、海外旅行も選択肢の一つとして提案できればと思います。

「超高齢社会をハッピーに」を目標に

―― 高齢化社会が加速する昨今、「日本介護トラベルサービス」はますますニーズが高まりそうです。このサービスを始めたきっかけを教えてください。

寺北) 日本介護システム株式会社は、「超高齢社会をハッピーに」を理念に掲げ、2011年に創業しました。現代表の大友俊雄は会社員時代に、高齢者がITに苦手意識を持っていることに課題を感じていました。そこで、高齢者のニーズをくみ取り、より暮らしやすくなる情報やサービスを自分たちで提供し、高齢者がアナログ感覚で利用できるポータルサイトのような存在になりたいと考えたことが創業のきっかけです。

弊社では、創業時から訪問理容サービスを主軸に事業を展開しています。当時、高齢者へのアンケートで「足腰が弱り、理髪店や美容院に行けない」「公的サービスの理美容は施術が一律」といった声があり、訪問理容サービスを始めたところ、たいへん喜ばれ、ユーザーも増加。このサービスを通じて、多くの高齢者から「旅行や外出をしたいが、家族に負担をかけたくない」という話を聞き、「日本介護トラベルサービス」をスタートさせました。

―― 高齢者や病気を抱える人などが、旅行やお出かけを楽しめるようにとの想いが込められたサービスなんですね。

寺北) はい。代表の大友は以前から「自分の親には、楽しく生き生きと老後を過ごしてほしい」と考えていました。その想いから、「1人でも多くの人に楽しく老後を送ってほしい」「体に不自由があっても、旅行やお出かけを楽しんでほしい」と考えているんです。そこで、会社として高齢者を中心にニーズを探り、公的サービスだけではカバーしきれないさまざまなサービスを展開しています。現在は、高齢者見守り、食事提供、引っ越しの手伝いなど、約13のサービスがあります。

―― 「自分の親や祖父母にも生き生きと過ごしてほしい」と考えている人は多いと思います。「親孝行したい」と考えたとき、旅行のプレゼントは選択肢の一つになりそうです。

寺北)遠方に住む私の高齢の母も、孫である私の娘の結婚式に出たいと言っています。娘はまだ小学生ですが(笑)。何をもって親孝行とするかは人それぞれでいいと思います。私も親孝行の正解は分かりませんが、例えば「孫の成長を見たい」といった母の希望はできるだけかなえてあげたいですね。

今後も「超高齢社会をハッピーに」という企業理念を軸に、高齢者や障がいや病気を持つ人のQOL(生活の質)向上をサポートできるよう尽力していきたい。ユーザーの夢や希望をかなえ、笑顔を引き出し、社会から頼られる企業でありたいと思います。

■まとめ

「どんな親孝行をしよう?」と考えたとき、家族旅行や温泉旅行を思い浮かべる人も多いでしょう。行きたかった場所で憧れの景色を見る、家族と笑顔で記念撮影する、現地の名産を食べるなど…いくつになっても旅は楽しいもの。でも、高齢や病気、車椅子ユーザーであることなどを理由に旅行を諦めてしまうのは寂しいですよね。そんなとき、介護付き旅行なら家族も本人も負担なく旅ができます。生涯の思い出づくりになる「親孝行旅」の新たなスタイルとして、選択肢の一つになりそうですね。

日本介護トラベルサービス(https://kaigo-travel.jp/

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