始まりの季節、春がやってきました。学校や会社の新年度が始まり、多くの人が新しい目標や計画を立てる時期ですよね。新社会人になる人は、「初任給が出たら、これまで育ててくれた親や祖父母、お世話になった人に贈り物をしたい」と考えていることでしょう。そこで今回は、社会人の先輩に、初任給で家族にどんなプレゼントをしたかをインタビュー。もらった人の心に残る贈り物選びのヒントになればうれしいです。
【金融機関勤務/Sさん(25歳)】
私の実家は千葉県。東京駅まで電車1本で行ける距離でしたので、子どもの頃、イベントの後は家族で銀座にある老舗の小さな洋食屋さんへ食事に行っていました。習い事の発表会を終えた後や卒業式の帰りなど、両親から「頑張ったね」と言われるのがうれしかったですね。高校以降は、毎年ではありませんが、家族の誕生日や受験の合格祝いなどでも行っていました。
無事、就職が決まった後、「初任給が出たら、家族との思い出が詰まっているあの洋食屋さんに招待しよう」と考えていました。予約の際に、両親の名前と「いつもありがとう」のメッセージ付きのデザートプレートも注文。食事の後にサプライズで出してもらうと、両親は涙ぐんでよろこんでくれました。初めて自分で食事代を全額支払い、両親から「ごちそうさま」と言われたときは少しくすぐったい気持ちでした(笑)。乾杯のお酒も入れて2万円以内だったと記憶していますが、自分的にはちょうどよい金額だったと思います。デザートプレートを囲んで撮った記念写真は、両親が今も実家に飾っています。ありきたりのプレゼントかもしれませんが、人生の節目に一緒に楽しい時間を過ごせたことは、両親にとっても忘れられない思い出になったようです。
【介護福祉士/Nさん(31歳)】
私は、実家から近い高齢者施設に就職したので、28歳までは実家で暮らし、貯金しようと決めていました。家には毎月生活費を入れるので、初任給の贈り物はスルーしようかとも思ったのですが、やはり一生に一度の機会ですし、無事社会人になれた感謝を伝えたいと考え直しました。
そこで、登山が趣味の両親に、おそろいのトレッキングシューズをプレゼント。カスタムでイニシャルを入れてもらいました。とてもよろこんでくれて、山頂で撮った写真をたくさん見せてくれました。私は、体力を使う仕事なので、休日に両親と山登りするのは難しい(笑)。でも、写真を見たときに自分も一緒に行った気分になりましたね。今でもシューズは手入れをしながら愛用しているそうで、
山に行ったときはLINEで写真を送ってくれます。ちなみに、購入価格は2足で約3万円。感謝を伝えるのに、金額は関係ないと思います。でも、もし、物を贈るのであれば、受け取る人にも気を遣わせず、かつ自分に無理のない範囲で設定することが大事だと思います。
【メーカー勤務/Iさん(27歳)】
私は、18歳のときに四国の実家を離れ、関西の大学に進学、そのまま就職しました。無事、社会人になれたので、両親と同居している祖父母に、これまで育ててくれた感謝を込めて初任給で何かプレゼントしたいと考えていました。でも、親に欲しいものを聞いても「貯金しなさい」と言うだろうし、日ごろからあまり物を買うタイプではないので、悩みました。旅行や食事会も考えたのですが、田舎なので、高齢の祖父母を連れ出すのも負担がかかると思ったんです。
そこで、初任給後のゴールデンウィークに帰省し、私が料理をふるまうことにしました。いつも
張り切って食事を用意してくれる両親・祖父母に、「今日だけは何もしないで」と伝え、関西名産の食材と使って、たこ飯や牛すじの煮込み、うどんなどを作りました。そこに、デパ地下で買ったお惣菜も加えると、家族みんなが「わぁ、すごい」とびっくりしていましたね。「Iがこんなに料理できるなんて成長したね」「食べたことのないものばかりで楽しい、おいしい」とうれしそうでした。
大学生時代は、地元の友人と遊ぶために帰っていたのですが、社会人になって初めての帰省では、家族でゆっくり過ごしました。関西の料理や職場のこと、同僚のことなど、さまざまな話をする時間ができて私もうれしかった。家族の健康状態の話も聞けたので、これからは親孝行のためにも、まめに連絡したり帰省を増やしたりしようと思いました。でも、面と向かって「ありがとう」と伝えるのは照れ臭かったので、関西に帰る前に手紙を置いていきました。後日、自宅に両親から野菜と魚、祖父母からお菓子が届きました。こちらに手紙は入っていなかったけれど、私の気持ちは伝わったと思っています。
■まとめ
初任給をもらうのは一生に一度。社会人になるという大きな節目は、両親や祖父母にこれまでの感謝を伝える良い機会。ここで紹介した社会人の先輩たちは、食事会での思い出づくり、実用品のプレゼントや帰省など、さまざまな形で親孝行したようです。生活スタイルや仕事、予算もそれぞれ違いますが、大切なのは相手を想う気持ち。「両親や祖父母のおかげで社会人になりました」という感謝を伝えることで、「これから自立して頑張ります」と自分の気持ちも引き締まるでしょう。