お墓参りは毎年のこととはいえ、ふと「これで本当に合っているのかな…」と不安になることはありませんか。「お参りは午前がいいって本当?」「お線香は立てるの? 寝かせるの?」と考え始めると、気になることが次々と出てくるものです。とはいえ、家族や親戚にあらためて聞くのもなんだか気が引けます。
そこで今回は、お墓参りにまつわる「意外と聞けない疑問」をQ&A形式でまとめました。日程や時間帯から、お作法やマナーまで、ひとつひとつ丁寧にお伝えしていきますので、心を込めたお参りのお供にしていただければ幸いです。
※本記事の内容は、一般的なお墓参りの慣習や考え方をもとにまとめたものです(加登調べ)。宗派・地域・ご家庭の考え方、また霊園や寺院の規則によって異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お墓参りといえばお盆やお彼岸。それ以外の日に行ってよいことは当然ですが、逆に避けた方がいい日はあるのでしょうか。そんな素朴な疑問から考えてみましょう。

◆ Q1. お盆やお彼岸、命日以外にお墓参りに行ってもいいですか?
A1. はい、もちろん問題ありません。お盆やお彼岸、命日だけでなく、お墓参りはたくさんすればするほど、故人やご先祖様も喜んでくださるといわれています。
故人にまつわる記念日や、母の日、父の日、敬老の日などもよい機会です。特別ではない日であっても、嬉しいことがあったとき、ちょっと話を聞いてほしいときにふらっと足を運ぶ。それだけでも、十分に素敵なお墓参りになります。
◆ Q2. お墓参りに行かない方がいい日はありますか?
A2. 特に「この日は行ってはいけない」という日はありません。忌中や喪中であっても、お墓参りは問題ないとされています。「会いに行きたい」と思ったときが、きっとお参りのいちばん良いタイミングです。
「お墓参りは午前がいい」という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか。
◆ Q3. お墓参りは何時に行くのがおすすめですか?午前が良いと言われる理由は?
A3. 「個人的な用事よりもご先祖様を優先する」という考えから、午前中が望ましいとされることがあります。とはいえ、大切なのはお参りする気持ちそのものです。ご自身やご家族の都合に合わせて、無理のない時間帯を選ばれるのがよろしいかと思います。
季節によって工夫されるのもよいかもしれません。たとえば真夏なら涼しい早朝や午前中、真冬なら日差しの暖かい午後などです。特にご高齢の方とご一緒にお参りされる場合は、体調にも配慮して決めると安心です。
なお、日没以降は閉門となる霊園や寺院が多く、入れたとしても暗くて足元が見えにくくなります。視界の悪い中でのお参りは危険ですので、明るいうちにお参りされることをお勧めいたします。
「どれくらいのペースでお参りすればよいでしょうか」という質問も、よく耳にします。お仕事や生活の中で無理なく続けられるペースを、一緒に考えてみましょう。
◆ Q4. お墓参りはどれくらいの頻度でするのが理想ですか?
A4. 毎日お参りできればそれに越したことはありませんが、なかなか難しいという方がほとんどではないでしょうか。ひとつの目安としては、祥月命日、お盆、春のお彼岸、秋のお彼岸の、年に4回程度がおすすめです。お盆と秋のお彼岸は日程が近いので、祥月命日・春のお彼岸・お盆の年3回という形も、無理のないよいペースかと思います。
また、「もっと頻繁に供養したいけれど、お墓が遠くてなかなか行けない」という方には、手元供養という方法もあります。お墓参りの代わりにはなりませんが、日々の暮らしの中で故人に手を合わせる時間があるというのは、心の支えになるのではないでしょうか。
お墓参りで「これはやってはいけない」と言われることには、きちんとした理由があります。理由を知っておくと、単なるルールとしてではなく、自然と納得できるのではないでしょうか。

◆ Q5. お供え物を置きっぱなしにして帰ってはいけないのはなぜですか?
A5. 食べ物をそのまま置いておくと、鳥や動物に荒らされてお墓が汚れてしまうおそれがあります。せっかくきれいにお掃除したお墓が荒れてしまっては、故人も悲しく思われることでしょう。お供え物は、お参りが終わったら「お下がり」として持ち帰り、ご家族でおいしくいただくのがよろしいかと思います。
◆ Q6. ローソクや線香の火を息で吹き消してはいけない理由は?
A6. 仏教では、人間の口から出る息は「不浄(穢れたもの)」と考えられています。私たちの息には欲や怒りなどの穢れが含まれているとされ、仏様のお食事であるお線香の火に吹きかけるのは失礼にあたるというわけです。
火を消すときは、手であおいで消すか、ローソクやお線香を軽く振って消すようにしましょう。ちょっとしたことではありますが、知っておくと安心です。
◆ Q7. お酒を墓石にかけてもいいですか?注意点はありますか?
A7. 「お父さんはお酒が好きだったから、お墓にもかけてあげたい」。そのお気持ちはとても素敵です。宗教や宗派によっては墓石にお酒をかけることもありますので、それ自体を否定するものではありません。
ただし、お酒は石がさびて変色する原因になることがあります。かけた後はお水でしっかり洗い流しておくと、お墓をきれいに保つことができます。お墓は故人そのものでもありますから、大切にしてあげたいものです。
お墓参りの作法には、宗派や地域による違いもあります。「うちではこうだった」という習慣があれば、それを大切にしていただくのが一番です。ここでは一般的な考え方をご紹介いたします。

◆ Q8. まずはお墓に手を合わせてから掃除をした方がよいですか?
A8. お墓は故人やご先祖様そのものとも言える場所です。たとえば、どなたかのお宅に伺ったとき、いきなりお掃除を始めことはないと思います。お墓参りも同じで、まずは手を合わせて「これからお掃除させていただきます」と断りを入れてから取りかかると、より丁寧になります。
◆ Q9. お水は上からかけますか?下からかけますか?
A9. 宗派やお寺様によっても考え方が分かれるところです。仏教では、故人やご先祖様は常に喉が渇いていると考えられているため、その渇きをいやすよう頭からお水をかけてあげるのがよいとされています。一方で、いきなり頭からお水を浴びせるのは故人に失礼だという考え方もあります。
どちらが正しいというものではなく、ご家族やお寺様の慣習に合わせるのがよろしいかと思います。迷われた際は、次にお寺様とお会いしたときにさりげなくお尋ねになるのもよいかもしれません。
◆ Q10. 線香は立てますか?寝かせますか?宗派による違いはありますか?
A10. 宗派的には、浄土真宗だけが「寝かせる」、その他の仏教各派は「立てる」のが正式とされています。とはいえ、実際には宗派よりも地域の慣習が優先されることが多いようです。たとえば浄土真宗の多い関西でも、線香を立てるのが主流となっていることもあります。
寝かせる場合は、横向きに、火がついている方を左側にして置くのが一般的です。ご自宅の仏壇でご先祖様に手を合わせるときのやり方と同じにされる、という方も多いようです。
◆ Q11. 線香の本数に決まりはありますか?
A11. 束にしてお供えするのが一般的ですが、宗派によって異なります。曹洞宗や日蓮宗は1本ずつ、浄土宗は2本、天台宗や真言宗は3本とされています。地域やご家庭の慣習によっても違いがあります。
最近では、ペットと一緒にお墓参りに行きたいという声も増えています。大切な家族の一員ですから、一緒にお参りできたら嬉しいものです。
◆ Q12. お墓参りのとき、ペットと一緒に行ってもよいですか?気をつけることはありますか?
A12. 霊園や寺院によって規定が異なりますので、事前にご確認いただくのがよろしいかと思います。「ペットOK」の場合でも、他の参拝者の方への配慮は大切です。小型犬であれば抱きかかえたりキャリーケースに入れたり、中型犬以上であればリードやハーネスは必須です。
また、墓地内での排泄は厳禁ですので、お出かけ前に済ませておき、念のためマナーウェア(おむつ)を装着させておくと安心です。鳴き声についても、静かに手を合わせていらっしゃる方がおられることを忘れずに、周りへの配慮を心がけましょう。
お墓参りには、宗派や地域、ご家庭によってさまざまな慣習があります。今回ご紹介した内容はあくまで一般的な考え方であり、「これが唯一の正解」というものはありません。
いちばん大切なのは、故人やご先祖様を思う気持ちそのものです。形式に縛られすぎず、心を込めてお参りすること。それが、きっと故人やご先祖様にとっても、いちばん嬉しい親孝行のかたちではないでしょうか。
次のお墓参りの際、この記事のことをふと思い出していただけたら幸いです。そして、どうぞ心穏やかな時間をお過ごしください。
取材/文 戸田敏治