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その先の親孝行2025.09.22大切な家族であるペットの供養を考える

大切な家族の一員であるペット。日々の生活に彩りと喜びを与えてくれる大切な存在ですが、いつかはお別れの時をむかえなければなりません。

大切な家族だからこそ、最後まできちんと向き合いたいものですね。今回は、愛するペットの供養について考えます。

ペットは家族 それぞれの供養体験談

家族の一員であるペットを亡くしたとき、みなさんはどのように供養をしているのでしょうか。体験談を伺いました。(名前は仮名です)

「1匹目の愛猫が虹の橋を渡ったときは、火葬場でお骨にしたあとお寺で合祀。今も年に1回の供養祭に行っています。今飼っている子にもいずれやってくるその時にはどうしようか迷っています。というのは、人間と一緒に入れる墓もあると知り、それも検討したいのです。でもそうすると1匹目の子が独りぼっちになってしまうため、それもかわいそうで、決められずにいます」(涼美さん)

「1匹目の愛犬は、火葬したあとお骨を家に持ち帰り、庭に埋めました。けれどもその後引っ越しをしたので、庭に埋めてしまったことは後悔しています。それもあって2匹目はお骨上げをしたあと骨壺を手元に置いています。リビングに安置している骨壺には毎朝チュっとキスを送り、線香をあげ、誕生日、命日、盆暮れには大好きだったキャベツをお供えしています。一日一回『ありがとう。元気でいるよ』と手を合わせるのは、自分の精神の安定にも役立っているなあと感じます」(茉莉さん)

「今までにウサギ、ネコ、イヌ2匹を飼いました。霊園から遺体を引き取りに来てもらって、合祀してそれきり。寝室に写真を飾っていますが、みな天国で仲良くやっていることと思います」(彰子さん)

「昨年愛猫を亡くしました。お寺でお骨にし、1ヵ月後の合祀のときにはお参りをして気持ちに区切りをつけたつもりだったのですが、なかなか家にあるその子の縁(ゆかり)の物が捨てられません。毛のついたままの爪とぎからシャンプーリンス、キャットフードに至るまで何も捨てられずにいます。おとなしい子でしたのできっと家のどこかにいるのではないかという気さえしており、どこかで、不要のモノは処分するなどもう1ステップ区切りをつけなければと思っているのですが…」(由子さん)

「ペット霊園でお骨上げをして、そのまま合祀もしようと思えばできたのですが、なんとなく霊園が暗くて雰囲気が合わず、お骨を家に持ち帰りました。自分のお墓もまだないので、どこかこの子と一緒に入れるお寺はないか、日々の散歩のついでに探していましたが、あるとき『ここだ!』と思えるような寺院墓地を見つけました。坂を上っていくとぱあっと視界が広がり、明るく景色のいいところなんです。ペット用の納骨堂もあり、自分の死後はここに入ろうと決めました。子どもたちもお散歩をしたり、おいしいものを食べがてら、命日などにかかわらず、来たいときにふらりとお参りに来てくれたらいいかなと思っています。」(里美さん)

供養のかたち  種類と選び方

体験談を伺ってみると、飼い主様のペットへの想いは同じように深くても、実際に行っている供養の仕方は様々だなと感じます。それでは、飼い主様それぞれの思いを受け止める、グッズやサービスにはどんなものがあるのでしょうか。

筆者が子どもの頃は、ペットが亡くなれば保健所に連絡をして遺体を引き取ってもらい終わりだったような気がします。しかし昨今では、家族の減少や屋内飼いが増えることでペットと飼い主さんとの心の距離が近くなりました。ペットの供養に関するグッズやサービスは10年前と比べてもグッと多彩になり、選択肢も格段に増えているようです。

■火葬・埋葬はどうするか

通常はペット専用の火葬場での火葬となります。遺体をお迎えに来てもらうのか、自分で運ぶのか、お骨上げを家族でして返骨を希望するのか、そのまま合同火葬にするのかなど、細かい飼い主のニーズに合わせて選ぶことができます。

ペット火葬炉を設置したセレモニー車に自宅に来てもらい、火葬をするサービスもあります。ペットが慣れ親しんだ場所で火葬できるということや、家族や友人が集まれる時を指定することができるなどの利点があり、利用者も増えているようです。自宅の横(屋外)などで時間をかけて火葬にします。

筆者の隣人が、以前このサービスを利用しました。事前に丁寧な説明があったものの、においや煙はどうだろうかと少々心配でしたが、懸念するようなことは何もありませんでした。隣人の愛猫は筆者もよく知る子でしたから、筆者もお別れができ、悲しみを共有できてよかったと思いました。

いずれにせよ、ホームページをみてよく検討をした上で、わからないことがあれば電話をして、自分たちがしたいお別れができるよう納得のいくまで確認をすることが肝心です。

■メモリアルグッズ

お骨上げのあと自宅に持ってくる場合、骨壺がそのまま自宅に置いてあると、来客などがぎょっとするのでは?と気になりますね。けれども今は自宅に保管しやすいデザイン性の高いものが増えています。

写真を飾ることのできる小さな仏壇。小さな仏具。リビングに置いておいても違和感のない骨壺カバーなどなど。また小さな箱に、名前を刻んだネームプレートを貼り、粘土でとった肉球型やいつも身に着けていた首輪などが収納できるようになっていたり、家族と分骨もできるよう、小さな骨壺などもあります。

これらの愛らしいメモリアルグッズは、飼い主さんの「悲しみ」を、いつも傍らに寄り添う「癒し」に変えるお手伝いをしてくれそうです。

動物は人間と同じお墓に入れるのか

骨になってもペットとずっと一緒にいたいという考える方もいるでしょう。人間のお墓にペットのお骨を入れられるかどうかは、よく検討しなければいけません。

法律上は問題はありませんし、ペットと人間に命の重さが変わるものではありませんから、理屈の上では一緒のお墓に入ることは誤りではないはずです。ただし、霊園や寺院によっては宗教上やその他の理由で禁止をしているところもありますから、確認をする必要があります。

昨今は、ペットと家族のきずなが強いことや子々孫々までの家のお墓というより、今いる家族のみのお墓という意識が強いことが、ペットと入れるお墓が増えている一因かと思われます。しかしもし、お墓を代々継承するつもりなのであれば、人間以外のお骨がいっしょに埋葬されていることに子孫が抵抗を感じる場合もないとは言えません。

ペットの納骨堂や、一緒にお墓に入れるお寺や霊園を探す、あるいは同じ区画の中にペットのお墓を建てるといった選択が求められるかもしれません。

まとめ

家族の想いに寄り添う新しい供養スタイルも増えてきました。ペットをどう見送るか、どう供養するか。選択肢が増えたことで、より悩んでしまいそうですね。いざという時悩まないためにも、事前に考えておく、家族で話し合っておくのも大切なことです。

一生住むと思っていても引っ越しをしたり、ずっと一緒と思っていた家族が分かれ分かれになることはあるものです。環境や心境の変化があることも頭の隅に置きながら、その時々で良い選択をしていきたいものですね。

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