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今できる親孝行2026.01.26人生の節目に、心からの「ありがとう」を。親の長寿を祝い、家族の絆を深める「現代の祝い方」と由来の話

久しぶりに実家へ帰ると、親の歩くペースが少し穏やかになっていることに気づきます。昔話が多くなったことにも気づきます。親が年を重ねていることを、あらためて意識する瞬間です。同じような経験をされる方は、少なくないと思います。

そんな親への感謝を形にする節目が、還暦や古希といった「長寿祝い」です。かつては厳かな儀式だったこの行事も、今では家族が温かく「ありがとう」を伝える機会へと変わってきています。

還暦は60歳、古希は70歳。それぞれの節目には、先人たちが込めた願いと、象徴する色があります。今回は長寿祝いの由来を学びながら、「お祝いの仕方」を考えてみたいと思います。

長寿祝いの由来と意味を知る

長寿祝いには、それぞれの年齢に込められた願いと、象徴する「テーマカラー」があります。その意味を知ることにより、親御さんの人生への敬意を深めることができます。

還暦(60歳)
干支が一巡し、生まれ年の干支に戻ることから「生まれ直し」の意味を持ちます。暦が「還る」ことから「還暦」と呼ばれ、長寿を祝う節目とされています。赤色でお祝いするのは、赤ちゃんに還るという意味と、魔除けの意味が込められています。

緑寿(66歳)
比較的新しい長寿祝いで、2002年に日本百貨店協会が提唱しました。還暦と古希の間の節目として、現代の元気な60代を祝う機会となっています。テーマカラーは緑色です。

古希(70歳)
中国の詩人・杜甫の詩「人生七十古来稀(人生70年は古来より稀なこと)」に由来します。長寿が稀であった時代の言葉ですが、今でも人生の大きな節目として祝われています。テーマカラーは紫色で、高貴さを表します。

喜寿(77歳)
「喜」という字の草書体が「七十七」に見えることから名付けられました。喜びの多い年齢を迎えることへの祝福が込められています。テーマカラーは紫色とともに金色も広く定着しています。

傘寿(80歳)
「傘」の略字が「八十」に見えることが由来です。傘のように家族を守ってきた人生への感謝を込めて祝います。テーマカラーは黄色や金色で、実りや繁栄を象徴します。

米寿(88歳)
「米」という字を分解すると「八十八」になることから名付けられました。米は日本人にとって特別な意味を持つ穀物であり、豊かな実りと長寿への願いが込められています。テーマカラーは黄色です。

卒寿(90歳)
「卒」の略字「卆」が九十に見えることが由来です。90年という長い人生を全うしてきたことへの敬意を表します。テーマカラーは紫色と白色です。

白寿(99歳)
「百」という字から「一」を引くと「白」になることから名付けられました。100歳まであと一歩という節目を、白という清らかな色で祝います。

百寿(100歳)
100歳の祝いで、別名「紀寿」とも呼ばれます。一世紀という長い人生への敬意と祝福を込めて祝います。テーマカラーは白や桃色(百=ももの語呂合わせ)とされていますが、金色など華やかな色合いでお祝いすることもあります。

数え年と満年齢について

日本の長寿祝いは、もともと「数え年」で行うのが伝統でした。数え年とは、生まれた年を1歳とし、以降は元旦ごとに1歳加える数え方です。

しかし、現在はほとんどの場合「満年齢」でお祝いするのが一般的になっています。ご両親や祖父母、大切な人の誕生日や節目に合わせてお祝いしたいものです。それでは、それぞれの年齢に込められた願いと色を知ったところで、実際にどのようにお祝いすればよいのでしょうか。ここでは、テーマカラーを活かしたお祝いの仕方を考えてみます。

テーマカラーで彩る長寿祝い

長寿祝いの伝統的なスタイルといえば「ちゃんちゃんこ」です。赤や紫のちゃんちゃんこを身にまとい、家族に囲まれて祝福を受ける。格式を大切にする方や、「せっかくの節目だから正統派で」という方には、今も変わらず人気のあるスタイルです。

一方で、若々しく活動的な今の親世代の中には「年寄り扱いされたくない」と感じる方もいらっしゃいます。また、体調や性格によって、大げさなお祝いを避けたいという方もいるでしょう。

大切なのは「お祝いされる側の気持ち」です。ご本人の性格や好み、体調を第一に考えて、伝統を守るのか、現代風にアレンジするのか、あるいはその中間を選ぶのか。ご家族らしいお祝いの仕方を見つけていただければと思います。

伝統を大切にしたテーマカラーの取り入れ方
還暦なら赤いちゃんちゃんこに、赤い座布団を用意する。古希や喜寿なら紫のちゃんちゃんこに、紫の風呂敷で贈り物を包む。米寿なら黄色い頭巾や扇子を添える。伝統的なスタイルの中でも、テーマカラーを重ねることで、より華やかで心に残るお祝いになります。

記念写真を撮る際には、テーマカラーの背景布や生花を飾るのもよいでしょう。後から写真を見返したとき、その色が節目の記憶を鮮やかに思い起こさせてくれます。

一方、伝統的な形式にこだわらず、もっと日常的な形でお祝いしたいという方には、次のようなアイデアもあります。

テーマカラーを「日常で使いやすい色」に
例えば還暦なら、ちゃんちゃんこではなく、落ち着いた「ボルドー」や「ワインレッド」のカーディガンにしてみては。ストールや帽子、バッグでもよいでしょう。日常で使いやすくすることによって、家族の温かさを何度も思い出してもらえるのではないでしょうか。

「体験」や「空間」でテーマカラーを添える
プレゼントに加えて、祝いの空間をテーマカラーで彩ったり、一緒に体験する時間を贈ったりするのも心に残るお祝いの仕方です。

還暦なら赤ワインで乾杯する。古希なら紫芋のスイーツを用意する。米寿のお祝いなら、テーブルに黄色い花を飾る。こうしたさりげない空間演出が、会話を弾ませます。

還暦なら赤いバラ園を訪れる。古希なら紫色の花が美しい藤の名所へ一緒に出かける。米寿なら黄色い菜の花畑を見に行く。色をテーマにした体験を共有することで、記憶に残るお祝いになります。

まとめ

長寿祝いは、ご本人の長生きを喜ぶだけでなく、家族の絆を深める大切な機会です。

還暦、古希、米寿。それぞれの節目に込められた先人の願いを知り、テーマカラーを通じて感謝を伝える。伝統的なスタイルを大切にするのも、現代風にアレンジするのも、どちらも素敵な選択です。日常に溶け込む贈り物や、一緒に過ごす体験、遠方から届ける花束など、お祝いの形は自由です。

「照れくさくて、なかなか感謝を伝えられない」という方にこそ、長寿祝いという節目の力を借りて、「ありがとう」を伝えていただきたいと思います。 形式にとらわれず、相手を想う気持ちを一番に。ご両親が次に迎える節目を、少し考えてみる。そうして思いを巡らせる時間そのものが、すでに親孝行なのではないでしょうか。

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