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その先の親孝行2026.05.25車なし、手ぶらで会いに行けるお墓参り。大阪みやこ霊廟 縁凛堂で体験した、新感覚納骨堂という選択肢

供養のかたちは時代とともに広がりを見せております。屋外のお墓や納骨堂、樹木葬など、選択肢が増えたぶん「自分や家族にはどのような形が合うのだろう」とお考えになる方も多いのではないでしょうか。

今回は、そうした選択肢のひとつとして注目されている「新感覚納骨堂」を訪ねてまいりました。大阪メトロ谷町線の駅からほど近い「大阪みやこ霊廟 縁凛堂(えんりんどう)」。従来のお墓や納骨堂、樹木葬などとは異なるこの施設で、お墓参りの一連の流れを体験させていただきました。オープンから今年で9年目。その仕組みや雰囲気を、実際に見て感じたままにお伝えいたします。

駅からすぐ。手ぶらで会いに行けるお墓参り

大阪みやこ霊廟 縁凛堂に到着してまず感じたのは、日常との近さでした。住宅街の中に自然と溶け込むように建っており、駅からもすぐの場所にあります。わざわざ車を出さずとも来られるので、お仕事やお買い物のついでに「ちょっと寄っていこう」と思える距離感です。実際に、電車や自転車、徒歩でお参りに来られる方も多いとのことでした。

建物は3階建てに地下を合わせた構造で、地下が参拝室と待合室、1階が受付と管理寺務所、2階が法要室、3階が本堂となっております。この施設は、450年の歴史を持つ「奥之坊」というお寺の敷地に建てられたもので、3階にはそのお寺の本堂がそのまま置かれております。2階の法要室では住職が毎日2回お経をあげておられ、お寺としての法要も日々行われております。新しい施設でありながら、長い歴史に守られた場所であるということに、安心感を覚えました。

地下の参拝室は全部で7つ。半個室が5つ、完全個室が2つ用意されております。利用プランはスタンダードタイプとプレミアムタイプがあり、完全個室はプレミアムタイプのみご利用いただけます。通常時はカードをかざして空いている参拝室に自由にお参りできるシステムですが、お彼岸やお盆など参拝者が多い時期には順番制に切り替わるとのことでした。

お花は施設の方が週に1回交換されており、365日いつお越しになっても綺麗な状態です。お水を汲む必要もなく、お墓を拭く作業もございません。カード1枚あればいつでもお参りできます。お花もお掃除道具も持って行かなくてよい、まさに手ぶらで会いに行けるお墓参りです。「お買い物帰りに立ち寄られる方もいらっしゃいますし、ランニングの途中にお参りされる方もおられますよ」と、スタッフの方が笑顔で教えてくださいました。

1回の滞在時間は平均で3分から5分とのことです。短く感じられるかもしれませんが、そのぶんお参りの回数が増える方が多いそうです。会いたいときに会いに行ける。ふらりと足を運べる気軽さは、この施設ならではの大きな魅力だと感じました。

カードをかざすと、目の前に現れるお墓

いよいよ、お参りの体験です。今回は特別に、完全個室の参拝室を見せていただきました。参拝室の前でカードをかざすと扉が開き、中へ入ると静かな空間が広がっておりました。室内には木目調の参拝パネルが設置されており、ここにカードをかざすとモニターに家名が表示され、「参拝準備を行っています。しばらくお待ちください。」という案内が現れます。お墓が搬送されてくるまで少しの待ち時間がありますが、静かな室内で気持ちを整える大切なひとときとなっているように感じました。

しばらくすると、正面にお墓が現れます。思わず「お墓だ」と声が出てしまいました。想像していたよりも大きく、しっかりとした存在感です。

お墓が現れる仕組みは立体駐車場のようなもので、壁の向こう側で多数のお墓が収納・搬送されており、カード情報をもとに参拝者のお墓が目の前まで運ばれてくるというものです。お墓が到着すると、すでにお花が供えられ、お香も整えられた状態になっています。室内のため直接火を使うことやお線香を立てることはできませんが、電子式のヒーターでお香を温めることにより、本物のお香の香りに包まれながらお参りすることができます。手ぶらでお越しになっても、すぐにお参りを始められる環境が整っていました。

お墓のプレートはオリジナルで作ることができ、石や家紋も選べるとのこと。お墓の外枠は共通ですが、プレート部分はどの参拝室でお参りしてもご家族のものが現れますので、いつでもご自分のお墓として向き合うことができる仕組みになっています。

特に印象に残ったのは、参拝パネルの機能でした。ご家族の思い出のお写真や家系図を表示できるほか、墓じまいをされた方が元のお墓の情報をここに記録し、次の世代へ残していくこともできるそうです。従来のお墓でも、墓石の横に建てる墓誌などに家族の歩みを刻んで残すことはできますが、それをデジタルデータとして残していけることに新鮮な驚きを感じました。

個室には椅子も用意されており、ご年配の方も座りながらゆっくりとお過ごしいただけます。車椅子の方でもお参りしやすいバリアフリーの設計で、どなたでも安心してお参りできるよう、細やかな配慮が行き届いておりました。

静かに手を合わせ目を閉じると、屋内であることを忘れるような穏やかな時間が流れていました。お参りを終えたら参拝パネルで終了の操作をいたします。お墓が静かに壁の向こうへ戻っていく様子を見届けて、退室となりました。

「便利」だけではない、新感覚納骨堂

「新感覚」という名前には、従来の納骨堂とは異なるものであることをお伝えしたいという思いが込められていたそうです。従来の納骨堂として広く知られているのは、いわゆる「ロッカータイプ」と呼ばれる形式です。コインロッカーのような棚が並び、それぞれの区画の扉を開けて骨壺やお位牌に手を合わせるものですが、上段はお参りしづらかったり、足元の段では腰をかがめなければならなかったりと、場所による違いが生じることもあります。

一方、新感覚納骨堂では目の前までお墓が来てくれます。手を合わせるという所作は屋外のお墓と変わりませんし、個室でお経を読まれる方もいらっしゃるそうです。お参りの形そのものは従来のお墓に近いまま、日々の通いやすさが加わっているところが、この施設の特徴ではないかと感じました。わざわざ車を出さなくても電車や自転車でお参りできること、お花やお掃除道具を用意しなくても手ぶらで来られること。こうした気軽さが、お参りの回数を自然と増やしてくれるのだそうです。実際に、この施設をお選びになる方の一番の理由は「利便性」であり、次いで「後の代に負担をかけたくない」というお気持ちだと伺いました。

費用面では、一般的な屋外のお墓が墓石と永代使用料を合わせて100万円から300万円程度かかるのに対し、新感覚納骨堂は50万円から150万円程度とのことです。管理費は年間1万円で、「思ったよりもお安い」というお声が多いそうです。墓じまいの費用や手間も不要で、管理費が途絶えた場合には施設側で対応し、ご遺骨は永年供養塔に移されます。

※費用やプランの詳細につきましては、施設へ直接お問い合わせください。

もちろん、便利であるがゆえに、お参りの時間はとても短くなります。自分でお花を用意して、お水を汲んで、墓石を丁寧に拭き清める。そうした一連の時間をかけること自体に大切な方と向き合う意味を感じていらっしゃる方にとっては、少し物足りなさをお感じになることもあるかもしれません。スタッフの方も「お参りのスタイルはお一人おひとり違いますので」と穏やかにおっしゃっておられました。

体験を終えて

今回の取材を通じて感じたのは、供養のかたちに優劣はなく、何を大切にしたいかによって合う選択肢が変わってくるということでした。

たとえば、自然の中で眠りたいという思いを大切にされるなら、屋外のお墓は揺るぎない選択肢になるかと思います。同じ自然志向でも、次の世代に負担をかけたくないとお考えであれば、樹木葬という道もあります。一方、日常の中で気軽に会いに行きたい、手ぶらでふらりとお参りしたいという思いを優先されるなら、今回体験した新感覚納骨堂のような施設が合うのかもしれません。

そしてこの選択は、お参りされる方のお気持ちだけではなく、そこに眠る方がどのような場所で安らぎたいかという思いも含めて考えるものなのではないか、そう感じました。

皆さまは、供養のかたちについて、どのようなことを大切にされていますでしょうか。風を感じながら手を合わせたいという思い、手ぶらで気軽に何度でも会いに行きたいという思い、次の世代の暮らしを第一に考えたいという思い。きっと、お一人おひとりの中に、それぞれの答えがあるのだと思います。

この記事が、供養のかたちについてあらためてお考えになるきっかけのひとつとなりましたら幸いです。

取材/文/取材写真 戸田敏治

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